ウラジオストク旅行
2019年の10月に友人と2人でウラジオストクへ旅行した。実は今までに海外へ行ったのがこの時だけだったこともあって、この旅行はかなり印象深いものであったし、去るときには必ずまた近いうちに来ようと思っていた。次にロシアに行くときに備えて、未だに財布にはルーブル紙幣が入っている。
翌年感染症が世界を覆うとも、数年後にロシアが戦争を始めるとも、この頃は微塵も思っていなかった。
最近、せっかくロシアに行ったことがあるのだから、こんな時こそロシアで見てきたものを思い出そうと、当時の写真を軽く見返している。その中でも気に入った風景を記録しておきたい。
ロシアを走る日本車
ロシア、特に日本に近い極東ロシアでは、日本の中古車が数多く走っている。ウラジオストク空港から乗った個人タクシーもホンダの初代フィット(2001 - 2007年)だったし、小さい車からトラックまで、本当に日本車が溢れていた。
面白いのが、ロシアは右側通行なので、右ハンドルの日本車のタクシーでは、歩道側に運転手がいることになる点だ。路上で「○○まで××ルーブルで行ってくれるか?」などと運転手に話しかけたいときは逆に便利だ。バスだけはさすがにそうはいかないようで、日本製ではない左ハンドルのものばかりだった。
中には元々が商用車で、日本語の社名などをそのままにして走っているものがある。
たとえばこれは、ウラジオストクから北へ100kmほど離れたウスリースクという街の、駅前ロータリーに停まっていたトラックの写真。思いっきり「西武運輸」と書いてある。野球ボールのような形の「西」の字の旧社章も懐かしい(西武のロゴは2008年頃に変わったが、それ以前に作られた西武線の車両にはこのマークがあった)。
調べると、西武運輸株式会社はもう存在せず、セイノーホールディングスの子会社「セイノースーパーエクスプレス株式会社」となっているようだ。確かに、小さい頃は見かけたものの最近は全く見ていない気がする。その意味でもこのトラックはとても貴重だ。
他にも、ウラジオストクの街中ではこんなのも走っていた。
これなんかは電話番号まで書いてある。電話番号で検索すると、鳥取県鳥取市佐治町にある「中谷食品株式会社」がしっかりヒットした。豆腐を作っているらしい。
以前は豆腐を積んで4WDで鳥取の山の中を走り回っていたんだろう。今何を積んでいるのかは分からなかった。
ウラジオストク屈指の観光名所である鷲の巣展望台から、市内の渋滞の様子を望遠で抜いた一枚。バス以外はほとんど日本で見覚えのある車だ。だいぶ違うが、中央道上りの上野原IC手前の渋滞名所が思い起こされた。ウラジオストク市民は日本の渋滞の光景を見て懐かしく思うだろうか。
そして、ロシアを走る日本車シリーズの中で一番のお気に入りはこの写真。
車種はおそらくトヨタの5代目カローラバンではないだろうか。5代目が1987年発売で、6代目が1991年発売だから、かなり年季が入っている。
10月のウスリースクの傾いた陽の光が、どことなく日本の冬晴れの暖かな日差しのようであり、奥のロシア語の看板がなければ日本の風景だと誰もが思うだろう。
かなり古い車だと思うのだが、「天沼塗料店」の文字がくっきりと残っているのもまたとてもよい。ちょうど塗料店だから、よっぽど丁寧に字を塗ったのだろうか。「天沼塗料店」で検索すると、今も営業しているのかは分からないが、栃木県那須塩原市の住所がヒットする。この文字を塗った方がまだいらっしゃるならば、ロシアで元気に走っていたよと伝えたい。